今回は帽子と笠 この2種を紹介したい。
帽子の役割は、主に暑さ寒さを防ぐもの、ファッション。頭を保護するもの。
笠は雨や風、日差しが当たらないようにかぶる物で円錐形の形をしたもの。
双方頭にかぶる装身具。

足軽陣笠 まず円錐形の形をしたのが足軽陣笠。和紙を何枚も張り合わせて形を作りそのうえから漆を塗って仕上げたものである。身分の低い兵士が使用したもので兜の代用。もし、鉄で出来ていたら鍋の代わりをしていたかもしれない。家紋は隅立て角、赤い朱漆がぐっと陣笠全体を引き締める。


長門細工 帽子
和紙を細長く切り、よった紙縒りを編んでさまざまな形をつくるのが長門細工。
軽く丈夫その上に水にも強い実用品である。
兵士の帽子それも日よけ帽子。モダンなデザインでおしゃれな帽子。


長門細工 笠
ある代官が発案したもので同じく長門細工。
編み笠になっており陣笠と違い扇形になっている。
折りたためるように作られ携帯に便利。

さて、これらにはすべてに漆が塗ってある。漆の歴史は古く縄文時代の土器の内側にすでに使用されていた。それを知った時、驚きと共に感動を覚えた。
その時代から日本人は、いつも好奇心に満ちて日々の暮らしの中から技術や道具を改良しつつ、叡智を働かせ豊かな文化を築き上げたと思う。その完成度は見事なもの。 和紙は強い。が、漆が加わるともっと力強さを増す。
そして、実用性と機能性を兼ね備えてくるので自然と美しい形になってくる。そうならざるを得ないと思う。
河井寛次郎の言葉を思い出す。『美を追っかける世界』と『美が追っかける世界』。 『美が追っかける世界』のひとつに今回紹介した帽子と笠もあたると思う。簡素なしみじみとした美しさである。